僕は昔この辺に糧秣廠りやうまつしやうのあつたことを思ひ出し、更にその糧秣廠に火事のあつたことを思ひ出し、如露亦如電によろやくによでんといふ言葉のかならずしも誇張でないことを感じた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あのをとこがかやうになろうとは、ゆめにもおもはずにりましたが、まことに人間にんげんいのちなぞは、如露亦如電によろやくによでんちがひございません。やれやれ、なんともまをしやうのない、どくこといたしました。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)