夷人いじん)” の例文
郷里くにを出るのに、夷人いじんの船などに乗せられて、よいことのあろうはずはない、覿面てきめんでしたのう、船は霧に包まれて坐礁しかけたり
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
かくのごとき地にあるのを見ると、コウロ、ゴウラもまた今は絶えたる夷人いじんの語かも知れぬ(註、この想像は誤りであった。クラという語の変化である)
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「なに、今にメリケンヘ渡ってあの術を奪ってやるのだ。夷人いじんの利器によって夷人を追い払うのだ」
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あのときは、——と、そこまで見送って来た家中の誰かが云ったものだ——夷人いじんにおびやかされて置いてきぼりにされたりしたものだが。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
二十四日の朝、二人は下田の郊外を歩いている夷人いじんを追いかけて、かねしたためていた投夷書とういしょを渡した。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「おぬし、夷人いじんだぞ、相手は夷人のうちの赤夷あかえびす、ちくしょう」
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)