机の上の鷹の羽をとって、客卓のちりを払い、そこへ茶器をのせた。安兵衛は、床の間の書を見ていた。天照皇太神てんしょうこうだいじんの五字がまだ濡れているような溌墨を見せている。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)