昔は天津橋上てんしんきょうじょう杜鵑とけんいたのを以て、天下の変を知ったものがあるではないか。お膝元から僅か十五里のところで、無残にも霊山を食い物にしている、それを抑えることができない……
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)