耳門くぐりから邸内へはいつて行くと信者ででもあらうか、せ細つた中年の女が、大麦藁帽子おほむぎわらばうしをかぶつて、庭の草むしりをしてゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)