大谷だいや)” の例文
大谷だいや川のほとりまで行って引っ返して来ると、お冬さんの店にはかの磯貝という紳士が腰をかけて、何か笑いながら話している。
慈悲心鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
箒川はうきがわの谷もかなりに上流まで行つた。大谷だいやの谷もあの深潭しんたんから華厳の瀑壺たきつぼまで行つた。吾妻川の谷にも深く入つて行つた。
水源を思ふ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
出発した場所は大谷だいや川の北岸に建てた四本竜寺であった。前二回は共に四月上旬、最後は三月中となっている。
山の今昔 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
高台の上にあって大谷だいや川の音がきこえてくるといういい所である。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
中でも、日光の山水を持つた大谷だいや川の谷と鹽原の勝を持つた箒川はうきがはの谷とが一番世に知られてゐる。しかし、この他に鬼怒川きぬがはの大きな溪谷のあることを忘れてはならない。
日光 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
棧橋かけはしあたりはことに惨めである。数年前に、冬そこを通つてつくづく情なかつたことを思ひ起す。日光の大谷だいやの渓谷などでも、神橋しんきやうの上流の下河原しもかはらあたりはことにその感が深い。
あちこちの渓谷 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
しかし、何と言つても一番すぐれてゐるのは大谷だいやの峽谷だ。
日光 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)