大流行おおはやり)” の例文
……虎列剌の大流行おおはやりのさなかに蛤を喰うなどというのが、そもそも無茶なんだ。細心な男なら誰れだって一応はそのくらいの注意はする。
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「あれはこの頃大流行おおはやりでございますね。私の弟もやっております。御主人さまは余程お上手でいらっしゃいましょう」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
追々おいおいと世の中が世智辛せちがらくなって来たら、こうした正札一点張りの無言の商売が大流行おおはやりをするようになりはすまいか。
「伊那の方でもこれが大流行おおはやり。武士が刀を質に入れて、庄屋の衆が弓をはじめるか。世の中も変わりましたね。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
(兵法が大流行おおはやりだから、兵法者もだんだんいかめしくなった)
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ふうん。この四、五日福岡博多で大流行おおはやりのこの歌を知んなさらんか」
「それ、それ、」と久兵衛も軽く笑って、「近ごろはそれが大流行おおはやり。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)