夜烏よがらす)” の例文
パチパチと篝火の燃える音、時々夜烏よがらすのはばたく音、百五十人の同勢は、いったいどこにいるのだろう? 出切ってしまったに相違ない。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
第三句、「山上をか」は代匠記に「みね」とも訓んだ。もう夜が明けたといって夜烏よがらすが鳴くけれど、岡の木立こだちは未だひっそりとして居る、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
こんな晩に夜烏よがらすが啼くと、きっと人が死ぬんだと私は考えて、どうかして烏の啼かないようにと心にこいねがっていた。お繁は三十三四の痩せた女の人である。
夜の喜び (新字新仮名) / 小川未明(著)
夜は一きは真黒になつて、屋根のあたりに夜烏よがらすが啼いた。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
ふる鏡霜に裂けたるこだまなし夜烏よがらすむせび黄泉よみにや帰る
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
如法にょほうやみ瞋恚しんい夜烏よがらす
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あかときと夜烏よがらす鳴けどこのをかの木末こぬれのうへはいまだ静けし」(巻七・一二六三)などもそうだが、万葉のこういう歌でも実質的、具体的だからいいので
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
毛頭ないよ、おれに勝ち目は! ……おっ、どこかで鳥が鳴いている! 夜烏よがらすだな、寝ぼけたとみえる。……あがるあがる鉄杖があがる! なぐられる、なぐられる、なぐられる!
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あかとき夜烏よがらす鳴けどこの山上をか木末こぬれうへはいまだ静けし 〔巻七・一二六三〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
夜烏よがらすがひとしきり梢で騒いだ。おおかた夢でも見たのだろう。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ギャーッと夜烏よがらすが啼き過ぎた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)