夜業やぎょう)” の例文
『あの晩工場から暗くなってから帰って来た主人は、御飯を食べると急な夜業やぎょうがあるからと言ってぐに出てきました。』
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
ぶどういろそられて、ボーウと、サイレンがりひびきました。これから、工場こうじょうでは、夜業やぎょうがはじまるのです。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
探険の結果、これは怨霊のほかに、理由がつかないと決定した夜のこと、旦那どのは、夜業やぎょうをしている情婦おんなのところへ行って、遂に引導いんどうの言葉を渡してきた。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
どこの小頭こがしらの家でもそうであるが、夜業やぎょう朝業あさぎょう遠出とおでなどの荷役のときには、五十人前——百人前という弁当をつくることが稀でないので、炊きだしの整備はととのっていた。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
(何の音だろう? 夜業やぎょうをやってんのかな)そう思ったのであっしは、顔をあげて、硝子ガラスの貼ってある工場の高窓を見上げたんだが、内部は真暗まっくらと見えて、なんの光もうつらない。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おかあさん、ぼく夜業やぎょうをしてきたんだよ。」
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)