埋兵まいへい)” の例文
「伏兵はいないか」と、用心深い眼で見まわしていたが、四山に草木もなく、埋兵まいへいの気ぶりも見えないので、意を安んじ、全軍をこの谷に休めて
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
総攻撃の日となるや、その埋兵まいへい二百余が、城内からも火を放って、暴れ出したのであるから、陥ちたのは当然だった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
発火、埋兵まいへい殲滅せんめつの三段に手筈を定めて、全軍ひそと、仮寝のしじまを装っていると、やがて果たして、人馬の音が、粛々しゅくしゅくと夜気を忍んでくる様子だった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「予が怖れたのは決して一人の張飛ではない。橋の彼方の林中に敵の埋兵まいへいがたえずざわめいていたので、また何か孔明が策を設けているのではないかと、きょうは大事を取って退却を命じたまでだ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)