団扇太鼓うちわだいこ)” の例文
一人の若者が団扇太鼓うちわだいこのようなものを叩いて相手の競争者の男の悪口を唄にして唄いながら思い切り顔を歪めて愚弄の表情をする
映画雑感(Ⅵ) (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さればやがて数年ののちには法華ほっけ団扇太鼓うちわだいこ百万遍ひゃくまんべんの声全くみ路地裏の水道共用栓きょうようせん周囲まわりからは人権問題と労働問題のかしましい演説が聞かれるに違いない。
団扇太鼓うちわだいこもだらりと下げて、音も立てず、千箇寺せんがじ参りの五十男が、口で石段の数取りをしながら、顔色も青くあえぎ喘ぎ上るのを——下山の間際にたことがある。
開扉一妖帖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大太鼓おおだいこを作る店なども真に見ものであります。革の厚み、胴の張り、びょうのふくらみ、健康な姿を思わせます。日蓮宗の信徒が手にする団扇太鼓うちわだいこも東京出来のをよいとします。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
トンツクと団扇太鼓うちわだいこが鳴りだしたのは、法華宗ほっけっしゅうにこって、かたときもそれを手ばなさないお煎餅屋せんべいやのおかみさんが、ここへもそれを持ってきて、やにわにたたきはじめたのだ。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
首に珠数じゅずをかけ団扇太鼓うちわだいこを持って出なければなりません様に成って居ります。