向横町むこうよこちょう)” の例文
その男と話しているうちに、何かの拍子ひょうしから、話は琉球の泡盛あわもりのことに移った。最近その泡盛を飲ませる店が、この風呂屋の向横町むこうよこちょうに出来て、一杯売をしている。
是から出船宿へ参るには、太田屋と申します宿屋の向横町むこうよこちょう真直まっすぐに這入りますと、突当りに香取かとり神社の鳥居がありまして、わき青面金剛せいめんこんごう彫付ほりつけたおおきな石塚が建って居ります。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
蕎麦屋そばやの看板におかめの顔が薄暗くふくれて、うしろからけるを今やと赤い頬に待つ向横町むこうよこちょうは、二間足らずの狭い往来になる。黄昏たそがれは細長く家と家の間に落ちて、とざさぬかどを戸ごとにくぐる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「金田の富子さんて、あの向横町むこうよこちょうの?」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)