竹格子たけごうしの窓には朝顔の鉢が置いてあったり、風鈴ふうりんの吊されたところもあったほどで、向三軒両鄰むこうさんげんりょうどなり、長屋の人たちはいずれも東京の場末に生れ育って
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)