口入くにゅう)” の例文
大杉が誰の口入くにゅうであったかまたどういう名目であったか知らぬが後藤子爵から若干金(タシカ三百円だと思った)を貰ったのは大杉自身から聞いている。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
奉「長二郎、此の帳面の通り其の方手間料を受取ったかそうして柳が其の方へ嫁の口入くにゅうをいたしたか何うじゃ」
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「御不承知とあれば強いてとは申しますまい。さりながら一旦いったんかように口入くにゅういたした上は、聞き届けのない方がわたくしの相手、これも武家の習いで是非がござりませぬ」
番町皿屋敷 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
隠居の身を以ってお政治向に口入くにゅう、よろず我儘わがままのふるまいなきに非ざるおもむき、上聞を達し、屹度きっと、おとがめもあるべきところ、永年御懇旨の思召しもあり、駿河守の役儀召上げ
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
そこで、そなたを見込んで、一ツ力が借りたいと考えているわけ——お城のことは、浪路なみじどのの口入くにゅうをうけるが便宜べんぎ——その辺のことを、今夜二人で、くわしゅうそなたに頼み込みたい仕儀なのじゃ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)