取合とりあわせ)” の例文
その豆を与えるところに、「なつけん」という親しい心持がある。鳩に豆は極めて陳腐な取合とりあわせのようであるが、この句は決してそうではない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
許六が「発句は取合せものなり」といふに対して芭蕉が「これほど仕よき事あるを人は知らずや」といへるを見ても、あなが取合とりあわせを排斥するには非るべし。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
一種の取合とりあわせの句で、雲の峯立つ盛夏の天と、たちまち乾く朱硯の水とを配合したに過ぎない。こういう配合を一の趣として感じ得ぬ人に、言葉で説明することはあるいは困難であるかも知れぬ。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
いずれもあまり風流でない、やかましい方の取合とりあわせである。轡虫の声から思いついて、こういう取合を求めたとなると、いささか窮屈になって面白くないが、実際こういう光景があったのであろう。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)