友禅染ゆうぜんぞめ)” の例文
旧字:友禪染
まず、西鶴さいかくのいわゆる「十二色のたたみ帯」、だんだら染、友禅染ゆうぜんぞめなど元禄時代に起ったものに見られるようなあまり雑多な色取いろどりをもつことは「いき」ではない。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
そして彼は、そこに絞り上げて干してあった友禅染ゆうぜんぞめ派手はでな小袖を、星明りにジッとながめて、野鍛冶の家にふさわしからぬこの女物を、不審にたえない面持ちで見つめております。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
型紙には様々な模様が切りぬかれ、花だとか鳥だとか貝だとか、時には家や舟なども画題に入りました。柄のよいこと、色の美しいことで、かの有名な友禅染ゆうぜんぞめにも比ぶべきものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
京屋吉兵衛は代々の紺屋こうやで、三代前の吉兵衛は京都へ行って友禅染ゆうぜんぞめの染方をならって来てこれに工夫をくわえ、型紙をつかって細かい模様を描くことを思いつき、豆描友禅まめがきゆうぜんという名で売りだしたが
顎十郎捕物帳:18 永代経 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)