勝山かつやま)” の例文
ヘイ、そのさきに寺がめいます、森の上からお堂の屋根がめいましょう。法華ほっけのお寺でございます。あっこはもう勝山かつやまでござります、ヘイ
河口湖 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
勝山かつやまに結ったり文金の高島田に結ったりしている上、それで芝居に出這入ではいりするようになってからは、随分意気な身装みなりをしていたから町家の奥様とも見えれば
ある恋の話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
洪水でみずには荒れても、稲葉いなばの色、青菜の影ばかりはあろうと思うのに、あの勝山かつやまとは、まるで方角が違うものを、右も左も、泥の乾いた煙草畑たばこばたけで、あえぐ息さえ舌にからい。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勝山かつやまでなし島田しまだでなし、さあ何でござろうな」「その髷こそ鬘下地かつらしたじでござる」「鬘下地? ははアこれがな」「したがって女は小屋者こやものでござる。女義太夫か女役者でござる」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
丁度明和めいわの元年に粂野美作守くめのみまさかのかみ高義公たかよしこう国替で、美作の国勝山かつやまの御城主になられました。その領内南粂郡東山村の隣村りんそん藤原村ふじわらむらと云うがありまして、此の村に母子おやこ暮しの貧民がありました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)