割前わりまえ)” の例文
西洋料理を一皿二皿喫ってビールを一本飲むくらいなら三四円もあればよいだろう、と、彼は朋友と西洋料理に往った時の割前わりまえを考えだしていた。
牡蠣船 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
仕種しぐさを待構えていた、饂飩屋小僧は、これから、割前わりまえの相談でもありそうな処を、もどかしがって
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのもっともいちじるしきものを挙げて言えば、普請奉行が大工に割前わりまえうながし、会計の役人が出入りの町人より付け届けを取るがごときは、三百諸侯の家にほとんど定式じょうしきの法のごとし。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「俺はいいが、ここにいる定公さだこう割前わりまえを忘れちゃいけないぜ」
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)