処方箋しょほうせん)” の例文
羽毛をとりだして病人の足の裏をでてみたり、ものなれた慎重な身振りだったが、かばんから紙片をとり出すと、すらすらと処方箋しょほうせんを書いた。
美しき死の岸に (新字新仮名) / 原民喜(著)
調合の方は朝鮮の姉が肺をわずらって最寄りの医者に書いてもらっていた処方箋しょほうせんを、そっくりそのまま真似てつくったときくからは、一応うなずけもしたが
勧善懲悪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
そして携えて来たかばんから処方箋しょほうせんを取出して処方をしたためるとそのままだまって座を立った。
寐顔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
ず朝のうちに本郷西片ほんごうにしかた町にある杉浦博士邸を訪ねて診察を受け、本郷薬局へ廻って処方箋しょほうせんを示して調剤を乞い、赤門前からタキシーを拾って浜屋へ戻ると、雪子とお春とが来て待っていた。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
やっと悪いところができて、ロイドも安心するし、ベイツ医師も面目をほどこしたわけだ。型どおり処方箋しょほうせんを書いて、部屋へ帰って寝るようにいった。二人は辞し去った。が、部屋へではなかった。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)