六月の二十四日は、内匠頭長矩たくみのかみながのりの百ヵ日目に当る。早朝に、質素しっそな女駕籠と幾人かの供人が、忍びやかに参詣して行った。内匠頭夫人の、今は髪も切って変り果てた姿が、駕籠へ忍ぶ時ちらと見えた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
内匠頭長矩たくみのかみながのりと申す者』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)