六年むとせ)” の例文
容姿かたち才智ざえも世にすぐれてめでたき人、面影は誰にも美しい思出を残している女史は、数えれば六年むとせ前、明治四十三年に三十六歳を年の終りにして
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
この六年むとせの歴史はわが受けし精神上教育の歴史なり。この教育は人の師たるを好むものゝことさらに設けたる所にして、不便ふびんなる我はこれを身に受けざること能はざりしなり。
わがミュンヘンにしは、このたびをはじめとせず。六年むとせ前にここを過ぎて、索遜ザクセンにゆきぬ。そのをりは『ピナコテエク』に懸けたる画を見しのみにて、学校の人々などに、交を結ぶことを得ざりき。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
六年むとせほど日毎日毎ひごとひごとにかぶりたる
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)