入用)” の例文
「そうかえ、それはいいことをしておくれだったねえ。……来栖勘兵衛は強い男なのだから、わしには、どうしても加担人かとうど入用るのだよ」
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
けれども、負ける場合、どうかを考える丈の落付きは入用る。その意味で、自分は、実にヤワであったのだ。
それにはお宝が入用りますので。……貴郎あなた様がそれを下さるという。有難いことでござりますよ。ではこの扉をあけましょう。ご自身にお入りなさりませ。ご自身に寝部屋へ参られませ
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私共がすでに自然の産物である以上、その親をしたうに何の批評が入用ろう
雨滴 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「お医者に云われたことにするの。私も一緒に行かなければならないから、留守番が入用るでしょう? あの人じゃ、独りで置けないわ。ね。だから、れんを又呼んで、代って貰うことにするの」
或る日 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それがおかしゅうございます。晨子はもう西洋へ参ると申すのばかりが嬉しいものと見えましてね。……まるで子供のようでございますよ。彼方に参って役に立たないものは何も入用らないなどと呑気を
伊太利亜の古陶 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
乞食ほいとして暮しゃ、ええも地面も入用んねえで、世話あねえわ!
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
いくらあんな家だって貧ママながら後取りは入用るわ。
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
けれども、ものも 入用るときがある。
五月の空 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)