光耀こうよう)” の例文
歴史を通じて巨人のラッパを鳴り響かし、勝利と光耀こうようとによって世界を二重に征服すること、それは実に崇高ではないか。
紅玉石ルビーか真珠でも一杯に刺繍ぬいとってあるらしく、それが今きらめいて煙々と瓔珞ようらくの虹を放っている光耀こうようさ!
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
それがどんな鬼か知らないが、無数の真蒼な小鬼どもが白金の光耀こうよう粲爛さんらんたる中で乱舞したら、あるいはこの海と空の華麗さを呈するかも知れないと、そんなとりとめない事を考えていた。
大江の水は白々と波打ち、朝の光耀こうようは三軍に映えている。勢揃いの場所たる江の岸には、はや旌旗林立のあいだに、五万の将士ことごとく集まって、部署、配陣の令を待ちかまえていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
マリユスは突然眼前にひろがった光耀こうようたる霧を通して、ほとんど彼女の姿を見分けることができないくらいだった。
まず、何より違って来たことは、洛中らくちゅうに入るとすぐ、大君ここにましますという光耀こうようと清潔さにちていることと、その「民」たるをもって幸福としている人々の平和な生活ぶりだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
暗やみのうちから伝わって来る賛美歌で、夜の暗い恐ろしい静寂のうちにおける祈祷きとうと和声との光耀こうようであった。
聖武天皇を鼓舞してそれをなさしめたのは麗姿光耀こうようを放つといわれたこの美しいおきさきだった。もしこのひとがなかったら今日の正倉院宝物をかくも現代の下で多くは見られなかったであろう。
正倉院展を観る (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは喜悦と光耀こうようと富貴と幸福とであって、陰惨な冷たい辛苦のうちに深く閉ざされていたこの不幸なる少女にとっては、夢のような光彩のうちに浮かんで見えた。
間もなく、中国山脈の背を西へ荘厳な落日の光耀こうようはうすずきかけた。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その姿は長い間光耀こうようのうちに包まれていた。それは実に、古来多くの英雄が発散して常に多少の間真実をおおい隠すあの一種の伝説的不明瞭に負うところがあったのである。
尊むべきやみをにわかに漠然ばくぜんと照らし、現在のあらゆる無心と将来のあらゆる熱情とから成っている、その意外なる光耀こうようの危険な魅力は、何物をもってしても写し出すことはできないであろう。
しかも愛そのものについてさえ、彼は衝動と激しい光耀こうようとを失っていた。
くなった人の方をふり返るその仕方を注意しなければならないのです。滅び朽ちることを考えてはいけません。じっと見つめてごらんなさい。あなたは、あなたが深く愛する死者の生ける光耀こうよう
死、それは大なる光耀こうようへの入り口である。