俵藤太たわらとうだ)” の例文
天満の鉄橋は、瀬多の長橋ではないけれども、美濃みのへ帰る旅人に、怪しい手箱をことづけたり、俵藤太たわらとうだに加勢を頼んだりする人に似たように思ったのだね。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俵藤太たわらとうだが持ってきた竜宮の宝物に、取れども尽きぬ米の俵があって、のちに子孫の者がその俵の尻を叩くと白い小蛇こへびが飛びだして米が尽きたと称するのも
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
是も俵藤太たわらとうだの竜宮入りというような、伝説に近い物語に始まった言葉だが、少なくとも現在の多くの説話では、人が往来したという海底の仙郷は竜宮と呼ばれている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
両眼りょうがん真黄色まっきいろな絵具の光る、巨大な蜈蜙むかでが、赤黒い雲の如くうずを巻いた真中に、俵藤太たわらとうだが、弓矢をはさんで身構えた暖簾のれんが、ただ、男、女と上へ割って、柳湯やなぎゆ、と白抜きのに懸替かけかわって
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つまりは俵藤太たわらとうだの取れども尽きぬ宝などと、系統を同じくした歴史的空想である。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)