依田よだ)” の例文
「日ごろから、特別になにやらお親しそうでござりますゆえ、この裏側のお長屋の依田よだ重三郎様のお宅ではないかと思われますのでござります」
その上に渡りがついている、美作様や左近将監様から、それとなくお町奉行の依田よだ様のほうへ、ご内意が行っているはずだ。何をやろうと後難は受けない。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その後、江戸に来ていた近藤勇に、依田よだ学海が「伏見の戦争はどうだった?」と訊いたところ、彼はそばの土方歳三を顧みて「此の男に訊いてくれ」と云った。
鳥羽伏見の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
小説家よ!……天晴あっぱれ、と一つあおいでやろうと、扇子を片手に、当時文界の老将軍——佐久良さくら藩の碩儒せきじゅで、むかし江戸のお留守居と聞けば、武辺、文道、両達の依田よだ学海翁が
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
僕は人の案内するままに二階へのぼって、一間ひとまを見渡したが、どれもどれも知らぬ顔の男ばかりの中に、ひげの白い依田よだ学海さんが、紺絣こんがすり銘撰めいせんの着流しに、薄羽織を引っ掛けて据わっていた。
百物語 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「静枝さんは、依田よだ先生のところへいったかい。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)