一例として近松半二ちかまつはんじ作『伊賀越道中双六いがごえどうちゅうすごろく』をあげよう。この戯曲は全体として統一のない、不自然な、「こしらえもの」に過ぎない。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
前者は二十八年の十一月興行の中幕で、一番目は「大坂陣諸家記録おおさかじんしょけのかきとめ」、二番目は「伊賀越道中双六いがごえどうちゅうすごろく」の岡崎と仇討あだうちであった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そんなものと一緒に、伊賀越道中双六いがごえどうちゅうすごろくに出てくるような、一世紀も前の望遠鏡だとか、妙なかっこうの磁石だとか、当時ギヤマンとかビイドロとかいったのでしょうが、美しいガラスの器物だとかが
鏡地獄 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
半二と加作の『伊賀越道中双六いがごえどうちゅうすごろく』岡崎の段の初めに「世の中の、苦は色かゆる松風の、音も淋しき冬空や」などある。全体この神詠なるもの何時頃いつごろから文献に見え出したのか、読者諸君の教えを乞う。