不開あかず)” の例文
本箱は、やや意を強うするに足ると思うと、その彼方むこう向けの不開あかずの蓋で、またしても眉をひそめずにはいられませんのに、押並べて小机があった。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何だか不開あかずの間というような感じで、恐くて近寄れなかったのである。まだ一つ、一の蔵と称する御蔵も随分子供の私達にとっては怖い所だった。
御殿の生活 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
洪は、伏魔と読み、また、不開あかずの門と聞いて、たちまちその傲上慢ごうじょうまんを、むらむらと、胸にあおりたてられたらしい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)