下女おんな)” の例文
だれだって、下女おんなじゃあるまいし、肝心な子息むすこに相談もしずに、さっさとよめを追い出してしまおうた思わないわね。それに旦那様もお年が若いからねエ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
口々に急立せきたてらるるせわしさに、三人四人の下女おんなは居たれど、我も客間へ用聞きにゆく事もありしに。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
ともかくもこの娘は尋常科だけ卒業したと言って、その前に雇った下女おんなのように、仮名の「か」の字を右の点から書き始めたり、「す」の字をむすびだけ書き足すようなことはしなかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
下女おんな共が口々に出迎えまする。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
下女おんなに案内を頼んで奥へ通る。
これは我が方に年久しくつかへし下女おんなの梅といふが、浅草の西仲町に嫁ぎゐたるをたよりゆきて。これは我がある方様と、契りてのかくし子なるが、面目なきに連れて立退きぬ。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)