三度目みたびめ)” の例文
伊勢は七度ななたびよいところ、いざ御案内者で客を招けば、おらあ熊野へも三度目みたびめじゃと、いわれてお供に早がわり、いそがしかりける世渡りなり。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一たびは朝早く我机辺に泣くを見出し、二度目ふたゝびめには雨ふりしきる日に垣の外より投入れられぬ。三度目みたびめは我が居らざりし時の事なれば知らず。浮世の辛らきは人の上のみにあらずと覚えたり。
秋窓雑記 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
三度目みたびめに尼提の曲った路にも如来は悠々と歩いている。
尼提 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)