丁年ていねん)” の例文
ソレカラ長崎に出たとき、二十一歳とはいながらその実は十九歳余り、マダ丁年ていねんにもならぬ身で立派な酒客しゅかくただ飲みたくてたまらぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
かつて東京の朝日新聞に児玉音松こだまおとまつとかいう人の冒険談が連載された時、彼はまるで丁年ていねん未満の中学生のような熱心をもって毎日それを迎え読んでいた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
丁度国の大戦の為にその国の丁年ていねん以上の男子が大方戦線へ出たその兵士の仲に当然まじつて行つて仕舞ひ、その上間もなく二人の夫が二人とも戦死したからでありました。
秋の夜がたり (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
死人の口に在る肉片と其の手の傷と同じ者で有った上幾多の似寄った証拠が有った為言い開きは立たず、死刑とは極ったが唯丁年ていねん未満で有った為一等を減じて終身の禁錮きんこになり
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
そうそう貴方あなたはまだ丁年ていねん未満ネ、お酒はいけないんでしたネ、だけど、目を廻して直ったばかりのホヤホヤなんだから、お薬に頂く分には構わないでしょう、少しやって見ましょうよ、気付けに
焔の中に歌う (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
自分は腹の中であたかも丁年ていねん未満の若者のような自分の態度を苦笑しながら、黙って父と歩調を共にした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)