一触いっしょく)” の例文
一触いっしょくしてタイタニックを沈めた氷山である。華麗かれいな羅馬の文明を鉄蹄てってい蹂躙じゅうりんした北狄ほくてき蛮人である。一切の作為さくい文明ぶんめいは、彼等の前に灰の如く消えて了う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
怒潮四千の軍馬に揉み込まれては、文字どおり鎧袖がいしゅう一触いっしょくで、敢然、孤槍をふるって立ち向う兵は、忽ち、泥地でいち血漿けっしょうと化し、多くは四散して、次の防塁にろうとした。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
動かざる必死の敵団も、その一触いっしょくをうけるや、眠れる虎が、一吼いっくして立ち上がったような猛気をふるい、両勢、およそ同数の兵が広き地域へ分裂もせず、うずとなって戦い合った。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何の、たかだか千か、千五百。味方は三万にちかい。鎧袖がいしゅう一触いっしょくだ」
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)