一目惚ひとめぼ)” の例文
その顔がいまだにどうかすると、はつきり記憶に浮ぶ事がある。里見さとみ君の所謂いはゆる一目惚ひとめぼれとは、こんな心もちを云ふのかも知れない。(二月十日)
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あれは、秋だったものな。はっきり聞いたのが、水の上に浮いている鴨鳥の声だった。今思うと——待てよ。其は何だか一目惚ひとめぼれの女のき声だった気がする。——おお、あれが耳面刀自だ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)