一巡いちじゅん)” の例文
三人は、それから、そろって各室を一巡いちじゅんした。朝倉先生は、室ごとに、入り口をはいると、立ったままで無造作むぞうさに言った。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
三人三様の議論が丁度ちょうど一巡いちじゅんしたところへ、後のドアがコツコツと鳴って、三等水兵の、真紅な顔が現れた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
車で一緒いっしょに都を一巡いちじゅんしながら色々話をうけたまわろうと云う。孔子は欣んで服を改め直ちに出掛けた。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
通路は環状になっていて、手前に欄干らんかんがあり、前が厚い硝子張ガラスばりの横に長い窓になっていた。通路を一巡いちじゅんすれば、上下相当の視角にわたって四方八方が見渡せるのであった。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
八時半に出勤せられると、直ぐに園内を一巡いちじゅんせられますが、先ず一時間かかります。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
博士は、係官を手まねきして、陳列棚の前を一巡いちじゅんした。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)