殺人行者さつじんぎょうじゃ
自分は画家であるが自分の最も好む事は絵を描く事でなくて『夜の散歩である』。彼の都を当てどもなくあちこちとうろつき廻る事である。殊に自分は燈火すくなき場末の小路の探偵小説を連想せしめる様な怪しき暗を潜る事が無上に好きである。或冬の夜であつた。 …