「詩集 登高」跋ししゅう とうこう ばつ
一九四三年の秋であった。三年あまり便りのなかった長光太から葉書をもらった。葉書はつぎつぎに来るやうになった。暗いところから出された光太は、人の顔を見るたびに、しっぽを振りたくなる負け犬の気持がするといふことが書いてあった。葉書には横書の片仮 …