戦争医学の汚辱にふれてせんそういがくのおじょくにふれて――生体解剖事件始末記――――せいたいかいぼうじけんしまつき――
古傷を抉られる——という言葉がある。恰も「文学界」誌上に発表された遠藤周作氏の『海と毒薬』という小説を読んだ時、私は全く自分等の古い傷痕を抉られたような心境だった。 というのは、この小説が戦争犯罪人というレッテルと、重労働二十五年という刑罰 …