文学の本筋をゆくぶんがくのほんすじをゆく坂口安吾選集さかぐちあんごせんしゅう
坂口安吾の文学はいささか奇矯で反俗的なところはあつても、文学としては少しも病的なものではなく、高邁な精神をひそめたすぐれたものと思ふ。その点、太宰治のどこまでも頽廃的でいぶしのかかつたセンチメンタルなものよりわたくしは坂口の文学の方が文学の …