第三者だいさんしゃ
東部カルパチア山地の森の中である。 ある冬の寒い晩、一人の男が銃を片手に耳をすましていた。ちょっとみると、鳥か獣があらわれるのを待っているようだ。が、じつのところはそうでないのである。この男——ウルリッヒ・フォン・グラドウィツは、人間があら …