衢路くろ
友よ覚えてゐるだらうか 青いネクタイを軽く巻いた船乗りのやうに さんざめく街をさまよふた夜の事を—— 鳩羽色のペンキの香りが強かつたね 二人はオレンジの波に揺られたね お前も少女のやうに胸が痛かつたんだろ? 友よあの夜の街は新しい連絡船だつ …