五月のはじめごがつのはじめ
一日晴明方五時、時計は壊れてゐるが、空や影や光の具合で大概見当がつく、——売薬嗜眠剤の悪夢に倦きたので旬日の禁を犯して洋酒を摂る。漸くにして陶然たる頃、窓方の明るみも亦仄かとなる。水眼鏡の眼を視開いて水底をさ迷はん夏の日のことを思ふ。B兄妹 …