小説集「秦の憂愁」後記しょうせつしゅう「しんのゆうしゅう」こうき
戦乱の期間中、私は幾度か中華民国に旅して、おもに上海に滞留した。そして彼地の有力な精神の代表者の一人として、秦啓源を捉えた。その生活や思想や人柄に、或は逆に私の方が捉えられたのかも知れない。——この秦啓源のことを、私はだいたい本書の作品のな …