述懐じゅっかい
真夜なかにふと眼が覚めた。パリの下宿の一室である。どうして眼が覚めたのか、と、その瞬間、自分にもわからなかつた。夢を見てゐたやうな気もするが、どんな夢か覚えてゐない。たゞ妙に口の中がなまぐさく、さう気がつくと、顔に冷たいものが触れ、夜具の襟 …
題名が同じ作品
述懐 (新字新仮名)種田山頭火 (著)