わが仏文壇に「なくてはならぬ部分」を残すわがふつぶんだんに「なくてはならぬぶぶん」をのこす――「吉江喬松全集」推薦の辞――――「よしえたかまつぜんしゅう」すいせんのじ――
吉江博士の業績について私は深く識つてゐるとは云へないけれども、博士の同学問に於ける信望は、単に、その人徳の然らしむるのみではなからう。その二三の著作に触れた印象を以てすれば、博士は、フランス文学の精神を文化史的或は社会史的観点に立つて捉へよ …