“黝”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くろ46.5%
くろず28.9%
ぐろ6.3%
あおぐろ5.7%
くす3.8%
ねずみ1.9%
クラ1.9%
あをぐろ1.3%
くら1.3%
うすぐろ0.6%
うずくろ0.6%
0.6%
ねづみ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこも燐や、硫黄や、塩酸加里などの影響を受けて、すべてが色褪せ、机の板は、もく目ともく目の間が腐蝕し、灰色にくろずんでいた。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
それから爪でこつこつこそげました。それから息をかけました。そのすきとほった氷の穴からくろずんだ松林と薔薇色の雪とが見えました。
氷と後光 (旧字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そして左足も捥ぎとられているとみえて、鮮血はすでにドスぐろあたり一帯の草の葉を染め、斑々はんはんとして地上一面にこびりついていた。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
そして夜中用事がなくても呼び起すので、登勢は帯を解く間もなく、いつか眼のふちはあおぐろみ、古綿を千切って捨てたようにクタクタになった。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
それと並んで、花や、果物や、切り割った西瓜や、野豚の頭や、倒さに吊りさげた鴨を描いた大きなくすんだ油絵が壁の半ばを占領している。
ねずみの色の毛布けぬのもておほへる如く、物びぬ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
岩窟イハムロは、沈々とクラくなつて冷えて行く。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
あをぐろくやつれた顔にひげがばうばうと生えてゐたが、しかし眉毛は相変らず薄かつた。さすがに不憫ふびんになつて、飯でも食はうといふと
六白金星 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
岩窟いはむろは、沈々とくらくなつて冷えて行く。した した 水は岩肌を絞つて垂れてゐる。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
のようにうすぐろ
原爆詩集 (新字新仮名) / 峠三吉(著)
何処かむしばんだうずくろさはあってもまだまだ秀麗だった麻川氏が、今は額が細長く丸く禿げ上り、老婆のようにしわんだほおこわばらせた、奇貌きぼうを浮かして、それでも服装だけは昔のままの身だしなみで
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
重なり合い折れくちている雑草の上をすんだ空気が、飄々ひょうひょうと流れ、彷徨さまようのを鈍い目で追跡し、ヤッと手を伸ばせば、その朽草くちくさの下の、月の破片かけら
自殺 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ねづみの色の毛布けぬのもておほへる如く、物びぬ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)