“静”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
しずか43.9%
しず32.2%
しづか5.7%
しづ4.5%
じっ4.5%
しずま2.4%
しづま1.2%
しい1.0%
せい0.8%
しずけ0.8%
そっ0.6%
0.4%
しづけ0.4%
シヅカ0.4%
じつ0.2%
0.2%
きよ0.2%
じょう0.2%
そう0.2%
そつ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
世間もしずかになり、世の中もかわって来たので、いよいよ故郷に落ちつくことにして、家を建て、細君ももらって新しい生活に入った。
掠奪した短刀 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そして、あたりはしずかであって、ただ、とおまちかどがる荷車にぐるまのわだちのおとが、ゆめのようにながれてこえてくるばかりであります。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
が、瑠璃子が、さう声をかけた瞬間、今迄しづかであつた父が、俄に立ち上つて、何かをしてゐるらしい様子が、アリ/\と感ぜられた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
不審に思つてづ封を切つて見ると驚くまいことか彼が今の妻と結婚しない以前に関係のあつたしづといふ女からの手紙である。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
五日、七日なぬか二夜ふたよ、三夜、観音様の前にじっとしていますうちに、そういえば、今時、天狗てんぐ※々ひひも居まいし、第一けもの臭気においがしません。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いつしか気がしずまると見えて、また木枯の吹きすさぶ町の中を黒い服を地上に引摺って、蔦の絡んだ白壁の教会堂の方へと帰って行くのだ。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
あゝ風情ふぜいとも、甘味おいしさうとも——その乗出のりだして、銀杏返ゐてふがへし影法師かげばふし一寸ちよつとしづまつたのをばうとした。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しいちゃん、あすこの引抜きを、今日はうまくやっておくれ。引きぬきなんざ、一度覚えればコツはおんなじだ。自分がるときもそうだよ。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
鍔ぜり合いは、どう極致きょくちせい……こうなると、思いきり敵に押しをくれて、刀を返しざま、身を低めて右胴を斬りかえすか。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
お島はどこか自分の死を想像させるような場所をのぞいてみたいような、悪戯いたずらな誘惑にそそられて、そこへ降りて行ったのであったが、流れの音や、四下あたりしずけさが
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「斯ういう処にいてかせぎに出るのかなあ!」と、私は、きたないような、浅間しいような気がして、暫時しばらく戸外そとに立ったまゝそっと内の様子を見ていた。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
同じなら、竹矢来たけやらいを組んでよ、検視の役人付添いの上、ドンドンと太鼓を叩いて、揚幕からんず静んずと出てみたいやな。
停車場に附属する処の二三の家屋のほか人間に縁ある者は何も無い。長く響いた気笛が森林に反響して脈々として遠く消えせた時、寂然せきぜんとして言ふ可からざるしづけさに此孤島は還つた。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
シヅカが、昔を今になすよしもがなと朗詠したのは、現実がいかに、きびしいものであるかという事実への歎息ね。
くもうごとき二人ふたりかたちおほきくつた。じつとするとき渠等かれら姿すがたちひさくつた。——飛騨ひだやまのあたりは、土地とち呼吸こきうをするのかもわからぬ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ホームズは全注意を集めて、この話を聞いていたが、この話が終ると、しばしの間は、っと沈黙したまま思案に沈んだ。
汝心をきよめて良き日の来るを待て、変り易きは世のならいなり
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
にあらず。無にあらず、動にあらず、じょうにあらず、しゃくにあらず、びゃくにあらず……」その句も忍藻の身に似ている。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
此のまゝそうッと寝かして下さい。一昨日から何処の座敷に行っても、私身体の塩梅あんばいが悪いからッて、皆な、そう言って断っているの……明日の朝ねえ……はあッ神経衰弱になって了う。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
今日けふは日曜なので阿母おつかさんが貢さんをおこさずにそつと寝かして置いた。で、貢さんの目覚めざめたのは朝の九時頃であつた。十歳に成る貢さんはひとり衣服きものを着替へて台所へ出て来た。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)