“雑沓”のいろいろな読み方と例文
旧字:雜沓
読み方割合
ざっとう94.2%
ざつたふ4.5%
こみあひ0.6%
ひとごみ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
相手の姿が江戸の雑沓ざっとうへまぎれこむと、容易に討ち難くもあり、影もくらまされる怖れもあるので、ぜひとも、東海道を旅する間に
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ドオモの前の広場には伊太利イタリイ皇帝としての奈破翁ナポレオンの騎馬の記念銅像があり、其処そこが各所に通ずる電車の交叉点だけに人と車で雑沓ざつたふを極めて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
大尉たいゐが高きほまれにはけおされてなど口々くち/″\いふ、百ぽんぐひより石原いしはら河岸かし、車の輪もまはらぬほど雑沓こみあひたり、大尉たいゐとも露伴氏ろはんし実兄じつけいなり、また此行中このかうちうわが社員しやゐんあれば、此勇このいさましき人の出を見ては
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
あまり後ろから押し付けられる息苦しさに、時々背伸びをしようとしたり、肩を揺す振らうとして見るが、立錐の余地もない雑沓ひとごみで、殆んど身動きが出来ぬ。まるで枷を篏められたやうである。
Dream Tales (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)