“鈍”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にぶ54.6%
どん13.1%
のろ10.1%
おぞ5.6%
にび5.2%
もど2.0%
なま2.0%
にば1.3%
1.3%
オゾ1.3%
0.3%
0.3%
うと0.3%
おそ0.3%
おぞまし0.3%
だる0.3%
なまく0.3%
なまくら0.3%
にぶっ0.3%
ぬる0.3%
のれ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
にぶ砂漠さばくのあちらに、深林しんりんがありましたが、しめっぽいかぜく五がつごろのこと、そのなかから、おびただしいしろ発生はっせいしました。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
私は、これまで斎藤茂吉についてはいろいろ余り書きすぎたので、今、いくらどんあたまをひねっても、どうしても書く事が浮かんでこない。
茂吉の一面 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
「あたいね、おじさまみたいなお年よりきらいになっちゃった、幾らいってもテンポがのろくて、じれじれして噛みつきたいくらいだわ。」
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
此處の歌は七首の聯作で、ほかの歌には、『後悔いむかもおぞの亞米利加』とあつたり、『罪をはや知りてあがなひまつれ亞米利加やつこ
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
大臣は空間に向いて歎息たんそくをした。夕方の雲がにび色にかすんで、桜の散ったあとのこずえにもこの時はじめて大臣は気づいたくらいである。
源氏物語:36 柏木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
さりとは氣まゝの仰せに有難うぞんじますと言ひしは覺えで、頓ては車の上に小石川はまだかまだかともどかしがりぬ。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「目の覺めるやうな威勢のいゝ仕事は無えものかなア。此節のやうに、掻つ拂ひや小泥棒ばかり追つ掛け廻して居た日にや腕がなまつて仕樣がねえ」
色ににばみき、そのをりに——
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
水の流れはゆるやかに、びた紅を底深く溶かしこんで、刻一刻と遠い狭霧の中に巻き収められて行く。
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
海驢ミチの皮畳を重ね敷いた宮殿に居て、歓楽の限りを味ひながら、大き吐息ナゲキ一つしたと言ふのは、万葉歌人に言はせれば、浦島同様「オゾや。此君」と羨み嗤ひをするであらう。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
惱ましくびては見ゆれ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
やがて、ろい、けたやうな返事をしながら、房一の湯上りでよけい赤紅あかく輝く顔がのぞいた。彼はゆつくりと兵児帯をまきつけてゐた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
供は一人いたが気のうとい間抜けらしく、風摩の死体を駕に乗せ、なにもいわずに三島のほうへ下って行ったということで、やれやれと胸を撫でおろしたが、いちどつかえたおびえは去らず
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
良心にわれて恐惶きょうこうせる盗人は、発覚を予防すべき用意にいとまあらざりき。渠が塀ぎわに徘徊はいかいせしとき、手水口ちょうずぐちひらきて、家内の一個ひとりは早くすでに白糸の姿を認めしに、渠はおそくも知らざりけり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼の行方ゆくへは知られずして、その身の家をづべき日はうしほの如く迫れるに、遣方やるかたも無くそぞろ惑ひては、常におぞましう思ひ下せる卜者ぼくしやにも問ひて、後には廻合めぐりあふべきも
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
あくる朝はなんだか気分がくなかった。ゆうべよく眠れなかったのと、寝衣ねまきで夜露に打たれたのとで、からだがだるいようにも思われた。
両国の秋 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
怖ろしくんびりした男である。看板には「御たましい研所とぎどころ」と高言しているが、こんな男に武士の魂を研がせたら、とんだなまくがたなになってしまうのではあるまいか——一応案じられもする。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところが去來いざ取懸とりかかツて見ると、ちつとも豫期よきした調子てうしが出て來ない。頭の中に描かれた作品と、眼前がんぜんに描出される作品とはなまり鋼鉄かうてつほどの相違さうゐがある。周三は自分ながら自分の腕のなまくらなのに呆返あきれかへツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
写す者が少し疲れて筆がにぶって来るとすぐほかの者が交代して、その疲れた者は朝でも昼でもすぐに寝ると仕組しくみにして、昼夜の別なく、めし煙草タバコも休まず、一寸ちょいともひまなしに
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
岩のくぼみにたたえた春の水が、驚ろいて、のたりのたりとぬるうごいている。地盤の響きに、満泓まんおうの波が底から動くのだから、表面が不規則に曲線を描くのみで、くだけた部分はどこにもない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「チヨツ! のれえや/\、あゝ、もうあんなに濁つてしまつたぢやないか。」と歯がみをして卓を叩いたり
雪景色 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)