“遅日”の読み方と例文
読み方割合
ちじつ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ところが、春の雪がまだらに消えた跡へ物を育む麗かな遅日ちじつあまねくなると、灰色の滑らかな根雪の膚からポタポタと真珠のような露の玉が滴り落ちる。
早春の山女魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
小野さんは両肘りょうひじを鉄の手擦てすりうしろから持たして、山羊仔キッドの靴を心持前へ出した。煙草をくわえたまま、眼鏡越に爪先の飾をながめている。遅日ちじつ影長くして光を惜まず。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
国境の駅の両替遅日ちじつかな
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)