“蹴散”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
けち84.8%
けちら15.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
明智が行李を蹴散けちらして追いすがった。四畳半の窓を開けると物干場ものほしばがある。階下に見張りがあるため逃げ場は屋根のほかにないのだ。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
と云ううちに交通巡査も、物蔭ものかげに隠しておいた自働自転車を引ずり出して飛乗った。爆音を蹴散けちらして箱自動車セダンの跡を追った。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
勝てば官軍、負けては賊の名をおわされて、降り積む雪を落花と蹴散けちらし。暗くなるまで波止場の肥料置場でここを読む。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「それから一目散いちもくさんに飛び出した。——懐中ふところの十手を取り出すわけにもいかないから、逃げの一手だ。石燈籠いしどうろう蹴散けちらして植込うえこみをくぐって、裏門を出るのが精いっぱい」