“褐色”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かっしょく56.5%
かちいろ12.9%
かつしよく7.1%
かばいろ7.1%
とびいろ4.7%
くりいろ3.5%
ちやいろ2.4%
ちゃいろ2.4%
ちゃ1.2%
かついろ1.2%
セピア1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
肉眼で見る代わりに低度の虫めがねでのぞいて見ると、中央に褐色かっしょくを帯びた猪口ちょくのようなものが見える。それがどうもおしべらしい。
沓掛より (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
サモワルはいつものやうに、綺麗に手入れがしてあつて、卓に被つてあるきれも雪のやうに白い。パンは柔かさうに褐色かちいろに焼けてゐて、薫が好い。
板ばさみ (新字旧仮名) / オイゲン・チリコフ(著)
草木さうもくおよ地上ちじやうしもまばたきしながらよこにさうしてなゝめけるとほ西にし山々やま/\ゆき一頻ひとしきりひかつた。すべてをつうじて褐色かつしよくひかりつゝまれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さ、こうなると、愚にもつかぬ、この長い袖の底には、針のようを褐色かばいろの毛がうじゃうじゃ……で、背中からむずつきはじめる。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
褐色とびいろ薔薇ばらの花、陰鬱いんうつ桃花心木たうくわしんぼくの色、褐色とびいろ薔薇ばらの花、免許の快樂、世智、用心、先見、おまへは、ひとのわるさうな眼つきをしてゐる、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
地平のあたり、一團の褐色くりいろなして、つらなめて
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
おつたはやゝ褐色ちやいろめた毛繻子けじゆす洋傘かうもりかたけたまゝ其處そこらにこぼれた蕎麥そば種子まぬやう注意ちういしつゝ勘次かんじ横手よこてどまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そんなことをして、どうしようというんだ! なに、それも毎度のことではないが、ちょっぴり、怪しげな褐色ちゃいろの跡をつけるためにである。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
何人なんぴとの会合か隣家となりの戸口へかけて七八輛の黒塗車が居并らび、脊に褐色ちゃや萠黄や好々の記号しるしを縫附けた紺法被こんはっぴが往来し、二階は温雅しっとりした内におのずからさゞめいて居るので
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
樺色かばいろに、褐色かついろに、黄色に、すがれて行くさまざまの林の色は、次第に黒ずんで来た。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
部屋のなかは、濃い褐色セピアと黒っぽい藍色あいいろのなかに沈んでいるのに、外景には三鞭酒シャンパン色の明るい光が氾濫している。夏の、あのはげしさはなく、しっとりと落ち着いた調子がある。